大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和29(あ)4189 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人長沢盛一の上告趣意第一点は、違憲をいうけれども憲法三七条二項は裁判

所は被告人側から申請した証人は不必要と思われる者まで悉く訊問しなければなら

ないという趣旨でないことは当裁判所の判例とするところであり(昭和二三年(れ)

第二三〇号、同年七月二九日大法廷判決、集二巻九号一〇四五頁、昭和二三年(れ)

第八八号、同年六月二三日大法廷判決、集二巻七号七三四頁参照)証人申請の採否

は健全な合理性に反しない限り当該裁判所が事案に必要適切であるか否かの自由裁

量によつて決定すべき事柄である。そして本件において原審が弁護人から申請のあ

つた所論の証人Aについて申請を却下したのは、原審がその必要を認めなかつたか

らであつて、本件記録に徴すれば第一審裁判所において、すでに右証人の訊問が行

われていること明らかであるから、原審が再び該証人を喚問することは必要でない

と認めたことが首肯出来る、原審には所論の違法はない。又憲法三七条一項にいわ

ゆる「公平な裁判所の裁判」とは偏頗や不公平のおそれのない組織と構成をもつ裁

判所による裁判を意味するものである(昭和二二年(れ)第四八号、同二三年五月

二六日大法廷判決、集二巻五号五一一頁参照)から原審の裁量権に属する証人申請

の採否が被告人の側からみて公平でないからといつて原判決が右憲法の条項に違反

するものであるということはできない、所論は理由がない、同第二点は単なる法令

違反の主張であつて(尚所論の労働者を「勧誘」することは「募集」に該当するこ

と職業安定法第五条第六項で明らかである)刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和三二年三月八日

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最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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